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●うまレター2014年9月号掲載

ジャパンダートダービー(JpnT)優勝馬
カゼノコのふるさと

田中裕之牧場【新ひだか町】

 大井競馬場で行われた3歳ダートチャンピオン決定戦「ジャパンダートダービー」を、2番人気のカゼノコが制した。中団待機策から直線で鋭く脚を伸ばし、断然人気のハッピースプリントをゴール板でハナ差捕らえ、世代ダート頂点の座を射止めた。
 カゼノコの生産者は、新ひだか町静内の田中裕之さん。07年の中山大障害優勝馬メルシーエイタイムの生まれ故郷で、現役馬では今年の京都記念で重賞2勝目を挙げたデスペラードや、南関東の重賞戦線を賑わせているジョーメテオなども同牧場を巣立った馬だ。
 「今回はかなり強い馬が相手でしたからね。チャンスはあると思っていたものの、勝つまでは難しいかな…と感じていました。前半に不利があって中団まで下がりましたが、もともと後ろからの脚質ですし、3〜4コーナーで上がって行った時には好勝負できると思いました。ゴールの瞬間は正直負けたと思いましたが、写真判定を見てビックリ。信じられない気持ちで口取りに立っていました」
 と現地で声援を送っていた田中さんは話す。
 芝ダート問わない万能種牡馬アグネスデジタルと、カブトヤマ記念の勝ち馬タフネススターの間に生まれたカゼノコは、その名の通り自然豊かな放牧地を元気に駆けまわり、すくすくと育っているように見えた。しかし、毎日その姿を見守っていた田中さんは、あることに気づいていた。
 「この馬はいじめられっ子で、同世代の気の強い馬たちから逃げまわっていたんですね。馬の群れではよくあることですが、カゼノコはそうした状況にもめげず、精神的に逞しく育ちました。今回のレースでも他馬と接触しましたが、そこから盛り返しましたからね。幼少期にいじめられていたことが、この馬の成長につながったのかもしれません」
 と牧場時代の秘話を明かしてくれた。
 デビューから5戦は芝を使われて結果が出ず、3歳になると同時にダート競馬で躍進し始め、ついには世代チャンピオンとなったカゼノコ。この先に待ち受けている古馬トップホースたちとの対決も楽しみだ。
 「まだまだ幼い面があり、伸びしろのある馬だと思います。母馬は古馬となって重賞を勝ちましたし、完成形はまだ先にあるでしょう。今度は中央のGTにも挑戦してほしいですね。また競馬場まで応援に行きたいと思っています」
 と愛馬にエールを送る田中さん。いじめられっ子の逆襲は、まだまだ始まったばかりなのかもしれない。

カゼノコ
牡3歳、栗東・野中賢二厩舎
父アグネスデジタル 母タフネススター

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